22:20。「9・11」の如く衝撃が松井を襲った。

「K君か、4月に子どもが産まれるんだってよ」

一瞬、耳がキーンとなった。頭がガーンとなった。

憧れの行政書士のあの方だった。

「僕も初めて聞いたから、びっくりしてね。既婚者ってことは。」

松井は、頭が完全にフリーズ。

届かない方だというのはわかっていた。遠い存在の方とはわかっていた。

あと少しで近づけた矢先に、突きつけられた結果。

あんなに凛としたまっすぐな方は他にはいない。

思い続けたものにゼロがかけられ、無になっていった。

おそらく、わたしは誰かと結婚する。だけど、憧れの人として残しておこう。

それが現実だ。

おそらく、今日は、人生で一番のショックな日だ。

前を向くんだ。松井。